設計者は偉大

「・・・では、基本合意はこんな感じで」
「それでは宜しくお願い致します!」

――会議終了――

「日下部さん、日下部さん」
「おや?渡さん。さっきはどうも」
「先程は弊社の製品を選択下さってありがとうございました。」
「いえいえ」
「ちょっと飲んでいきませんか?」


――バー ダーククラウド内――

「日下部さん。実はこんどうちで新しい製品がでるんですよ。」
「ほう。」
「動作的には従来の機能を踏襲してるんですがね、よりきめ細かい動作ができるんですよ。」
「そうなんですか。」
「ただいかんせん、セールスポイントが弱い。そこで、くさかべさんにひとつお力添え頂きたい。」
「で?」
「その製品を推して頂きたいんです。」
「・・・どうしろと?」
「簡単なことです。必要性を作って頂いて、メンバーの意識にすりこませばいいんです。箇所は私がマニュアルに明記していない所を選んでまとめますんで」
「なるほどなるほど?」
「あとこれを」
「ほう・・・これはこれは結構なお菓子だねぇ」
「よろしくお願いしますね」




――それから何年か後。
みんななんかおかしいと感じはじめたころはもう遅く、
昔の話を知っている人間は、一人もいない状況であった。。

いくら当時の資料が残っていても、
意外と当の本人しか知り得ない話は多いものである。
(この物語はフィクションです)